「食道がん」(食道癌)の手術件数の全国病院ランキングです。2017年の実績ベース。厚生労働省(厚労省)のデータに基づいています。食道癌専門の医師がいる全国の病院が対象です。 1位は北海道の恵佑会札幌病院。2位は千葉の国立がん研究センター東病院、3位は東京の昭和大学病院。東北では、1位が東北大学、2位が秋田大学、3位が福島県立医科大学、4位が岩手医科大学病院となっています。(リトリート編集部)。

手術件数ランキング(全国トップ40)~2017年実績

順位 病院名 手術数
1位 恵佑会札幌病院
(北海道)
168
2位 国立がん研究センター東病院
(千葉)
150
3位 昭和大学病院
(東京)
139
4位 岡山大学病院
(岡山)
126
5位 がん研有明病院
(東京)
123
6位 国立がん研究センター中央病院
(東京)
120
7位 大阪国際がんセンター
(大阪)
100
大阪市立大学病院
(大阪)
100
9位 順天堂大学順天堂病院
(東京)
93
10位 愛知県がんセンター中央病院
(愛知)
90
11位 名古屋大学病院
(愛知)
78
12位 東海大学病院
(神奈川)
77
13位 熊本大学病院
(熊本)
75
14位 虎の門病院
(東京)
73
15位 近畿大学病院
(大阪)
70
16位 東北大学病院
(宮城)
66
17位 慶應義塾大学病院
(東京)
64
都立駒込病院
(東京)
64
19位 埼玉医科大学国際医療センター
(埼玉)
60
20位 東京大学病院
(東京)
59
21位 京都府立医科大学病院
(京都)
56
22位 九州大学病院
(福岡)
53
23位 埼玉県立がんセンター
(埼玉)
52
24位 千葉大学病院
(千葉)
51
25位 神奈川県立がんセンター
(神奈川)
49
26位 東京女子医科大学病院
(東京)
48
27位 和歌山県立医科大学病院
(和歌山)
46
28位 東京医科歯科大学病院
(東京)
45
藤田医科大学病院
(愛知)
45
30位 神戸大学病院
(兵庫)
44
31位 市立広島市民病院
(広島)
43
32位 秋田大学病院
(秋田)
42
静岡県立総合病院
(静岡)
42
34位 関西医科大学病院
(大阪)
41
宮﨑大学病院
(宮崎)
41
36位 東京医科大学病院
(東京)
40
県立がんセンター新潟病院
(新潟)
40
県立静岡がんセンター
(静岡)
40
39位 徳島大学病院
(徳島)
39
40位 国立九州がんセンター
(福岡)
37
鹿児島大学病院
(鹿児島)
37


手術件数ランキング(東北地方トップ10)~2017年実績

順位 病院名 手術数
1位 東北大学病院
(宮城)
66
2位 秋田大学病院
(秋田)
42
3位 福島県立医科大学病院
(福島)
36
4位 岩手医科大学病院
(岩手)
29
5位 山形大学病院
(山形)
22
6位 山形県立中央病院
(山形)
21
7位 弘前大学病院
(青森)
19
8位 岩手県立中央病院
(岩手)
17
9位 太田西ノ内病院
(福島)
15
10位 大崎市民病院
(宮城)
13
脳神経疾患研究所総合南東北病院
(福島)
13

食道がんとは

食道がんは、食道に発生するがんのことだ。

食道は、口腔から胃まで約40センチくらいあるが、頸部食道は約5センチ、胸部食道は17センチ、腹部食道が3センチで下方は横隔膜の穴を通って胃の噴門部に入る。

内面は扁平上皮におおわれているのでここに発生するがんも扁平上皮がんが多い。

食道の上部、中部、下部に発生するが、それは、ここのところが普通狭くなっており、そこに一致して発生することが多い。

とくに下部食道がんが最も多いのは注目されている。

食道にがんができると、その部分が次第に狭くなり食物の通りが悪くなってくるが、初めのうちは胸骨(胸の前面中央の骨)の裏側で食物がつかえる感じとか、異物感、不快感、圧迫感、あるいは普通は感じない食物の食道通過感、食物通過の時のしみる感じや灼熱感などを覚える。

食道がんの原因については男性に圧倒的に多いことから、飲酒、喫煙などによる長期間の刺激が原因となるともいわれている。

多発がん(多重がん)

食道は胎児の発生段階で咽頭部が下に延びてきて、できてくる。

組織的には咽頭は口のなかと同じなので、皮膚の表面と同じで、扁平上皮という組織だ。

食道がんは扁平上皮からできるがんなので、扁平上皮がんがほとんどだ。

そして、食道がんができた患者には頭頸部のがんができやすい傾向がある。

転移ではない。

原因はよくわかっていないが、食道がんの治療をしてから数年後に舌がんが発生したり、下咽頭がんの治療後、三、四年してから食道がんが発生したりする。

また胃がんの発生もある。

さらに、食道がんを治療してもまた、残った食道にがんができることもある。

特に粘膜下層までの深さの表在がんは多発しやすいので、十分な検査が必要だ。

食道と咽頭、喉頭や上顎が組織的に同じであることが、多発することに影響しているとも考えられている。

また、咽頭に多発することに関しては、食道がんと同じように食生活や喫煙の習慣が原因ではないかとも考えられている。

食道がんの原因と予防

食道がんの原因は明らかにされていない。

しかし、ウイスキーやブランデー、焼酎などの強いお酒やタバコが関与していることは統計的にも明らかだ。

強いお酒を毎日飲んで、タバコを1日25本以上吸う人の食道がんに罹る率は、お酒を飲まず、タバコも吸わない人の3.5倍とのデータもある。

また、東京女子医科大学の食道がん患者の飲酒歴は、日本酒なら毎日2.3合以上、ウイスキーなどのアルコール濃度の高いお酒を20年以上続けている場合がほとんどだ。

また、食事も原因の一つではないかとみられている。

特に、熱い食べ物や塩辛いものなど刺激の強い食べ物もリスクファクターだと指摘されている。

予防のためには強いお酒を控えて、タバコをなるべく吸わないようにすること。

また、バランスのとれた食事で、野菜を多くとることも大切だ。

食道がんの早期は、症状がほとんどないので、専門医はお酒をよく飲む人には40歳を過ぎたら、年2回の内視鏡検査を勧めている。

早期発見は年1回でもいいのだが、食道を失いたくなかったら年2回必要だという。

"寿司テスト"というユニークな自己検診法を提唱する専門医もいる。

寿司屋にいったら、最初の握りは飲み込んでみる。

それがひっかかるような感じがしたら食道がんの初期症状を疑えというものだ。

<引用文献>
「がん名医の先端治療大全」

がんプロフェッショナル養成プランに秋田大学など北東北4大学が申請

2007年8月2日、秋田魁新報

北東北における総合的がん専門医療人の養成

文科省がプラン採択

秋田大学(三浦亮学長)は2007年8月1日、がん治療に特化した人材養成を行う大学を支援する文部科学省の「がんプロフェッショナル養成プラン」に、秋田大学など4大学が共同申請した「北東北における総合的がん専門医療人の養成」が採択されたと発表した。各大学が広域的に連携し、臨床と研究の能力を兼ね備えた医師、看護師、薬剤師らを養成、北東北全体のがん医療の平均化や死亡率低下を目指す。

岩手医科大学、岩手県立大学、弘前大学

秋田大学が中心となり岩手医科大学、岩手県立大学、弘前大学と共同申請した。全国で22件の申請があり、秋田大学のグループを含む計18件が採択された。期間は平成19年~23年度の5年間。

大学院の博士課程(4年間)

計画では、各大学がそれぞれ▽大学院の博士課程(4年間)で専門的な知識、能力を習得する「専門医師養成コース」▽看護師や薬剤師などを対象に教育を行う「コメディカル養成コース」▽中核病院の医師や開業医など専門医向けに最新の情報や技術を提供する「インテンシブコース」-を設定。各コースでは内科系、外科系といった従来の診療科目の枠を超えた臓器別の縦断型講義などを計画。いずれも共通カリキュラムや遠隔授業などを通じて交流、単位互換で連携する。

がん死亡率低下に向けて

専門医師養成コースの場合、秋田大学は化学療法と緩和ケア、弘前大学は放射線と緩和ケア、岩手医科大学は開発型臨床試験など得意分野で役割分担。連携の利点を生かし、より高度な知識、能力の習得につなげたい考え。 秋田大学の本橋豊医学部長は「北東北はがん医療改善の緊急的取り組みが必要な地域。広大な医療圏やスタッフの慢性的不足といった課題を今回のプラン推進で改善し、がん死亡率低下につなげたい」と話している。

全国ワーストの秋田県337.8

平成17年の人口動態統計によると、北東北のがん死亡率(人口10万人当たり)は全国ワーストの秋田県337.8を筆頭に、青森県305.9(全国10位)、岩手県296.4(全国12位)。

暫定指導医

日本臨床腫瘍学会によると、北東北でのがん専門医は岩手県の1人だけ(2007年8月1日現在)。専門医を指導する立場にある暫定指導医は秋田県が2人、青森2人、岩手4人(8月1日現在)となっている。